Switch 新モデル

https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/had/index.html

 

Lite の発表に続いて、「バッテリー持続時間が長くなった新モデル」が突如発表されましたね!

噂されていた「プロ版」的な位置づけではなく、いわゆるグラフィックの性能向上等は謳わず、バッテリの持続時間が従来比で最大1.8倍くらいになるという、マイナーチェンジ的な位置づけかと思われます。

 

本体形状や重量が変わっていないので単純にバッテリーを増量したとは考えづらく、海外等の噂を纏めると、「20nmプロセスの Tegra X1 (T210) を (多分) 16 or 14nmプロセスでシュリンクした Tegra X1 (T214, コードネームMariko) を採用し、(同クロックであれば) 消費電力が下がるため」に、同容量のバッテリーでも稼働時間が伸びているものと思われます。

 

一般的に、20nm→16nmプロセスにシュリンクすると、60%程省電力化できると言われているので、今回のバッテリー持続時間の伸び率と、大体比例してる感じですね。

 

その他、Switch本体ファームウェア5.0を解析した結果から、旧モデルではメモリが LPDDR4 4GB だったのが、 LPDDR4X 4GB になっているとも噂されています。

(LPDDR4X は LPDDR4 の低電圧版で、メモリ全体で約18%程省電力化されます)

 

新Switchが恐らくバッテリー容量が変わっていないのに稼働時間が伸びているのと、Lite に至っては旧Switchよりバッテリー容量が減っている (4,310mAh→3,570mAh) にもかかわらず旧Switchより稼働時間が長いのは、このシュリンクTegra X1での省電力化+LPDDR4Xでの省電力化のおかげと思われます。

 

(べつにダイのシュリンクはゲーム機において珍しいわけでもなく、例えばPS3とかも90nmプロセス→65nm→45nmとシュリンクしていて、シュリンクすることで同じサイズのウェハから作れるダイが多くなってコストが削減できるからやるわけです。で、据置だと消費電力は正直あんま気にされないので値下げとかにしかアピールポイントがないわけですが、Switchは携帯機なので、稼働時間伸びました!というところに売りを設定したのが、うまいなあと思います)

 

一方で、シュリンクすることによって消費電力効率が良くなるということは発熱もその分抑えられ、その分さらに高クロックで動かすことができる、という意味合いもあります。

(世の中のCPU・GPUの性能向上は、アーキテクチャの高度化もありますが、殆どはこの製造プロセスの微細化による高クロック化のおかげです)

 

旧 Switch の Tegra X1(T210) は CPUが上限1GHz、GPUは SoC そのものとしては1GHzが上限 (※NVIDIA SHIELD TV など) ですが、Switch では 921MHz 上限とされ、さらにファームウェア的に、ドック時で 768 MHz に抑えられています。(恐らく放熱の関係でしょう)

 

今回採用されたと思われる新 Tegra X1 (Mariko) は GPU の上限クロックが 1267 MHz になっているようなので、クロック的には GPU 性能が約27%アップしていることになります。

それに伴ってか、旧SwitchとLiteではGPU動作モードはこれまで通り (携帯モード時 307GHz、ドック時768MHz) なのに対し、新Switchのみ、これまでより高いクロックの動作モードが (ファームウェア上) 確認されているようです。

 

https://www.resetera.com/threads/details-about-new-switch-revision-via-os-datamine-lpddr4x-ram-modest-gpu-performance-boost-no-pro-model-in-sight.128513/

 

旧Switchでも、排熱機構は携帯・ドックで同じなんで、バッテリー持ちさえ無視すれば携帯モード時に768MHz動作までさせることは出来るはずですが、

  • 想定解像度が携帯モード 720p、ドックモード 1080p
  • この解像度の違いによる描画負荷が2.25倍
  • 解像度の違いだけなら、307MHz→768MHz にクロックアップすることで約2.5倍の処理性能になるので、うまくスケールする

というのが根底のデザインのため、あまりここから逸脱しているタイトルは多くありません。

BotWは携帯モード(720p)時に GPU 460MHz で動作させる珍しいタイトルですが、ドック時はやはり 768MHz でクロックが約1.7倍にしかならないため、ドックモードでは 1080p ではなく 900p で動作しています。(720p→900pでの描画負荷は約1.56倍)

また、CPUについて Tegra X1 はもともとブースト時 1.9GHz 動作も可能ですが、Switch では定格1GHz動作となっています。

これも、BotW では、発売後のアップデートによって、ロード画面の時のみ (つまり GPU がほぼアイドル状態で電力食わない時のみ) CPU を 1.7GHz にブーストさせることで、ロード時間を短縮させたという事例があります。

 

まあ、何が言いたいかと言うと、27%程度のGPU性能向上では 900p を 1080p にも出来ないし無論4Kなんてありえなくて PS4 Pro みたいな性能上位版として売り出すのは全然ムリなので、新Switch本体としてのアピールは「バッテリー駆動時間が長くなりました!」と言うに留めておいて(携帯機として考えればそれも立派な性能向上)、旧でも新でもLiteでもソフトの互換性は全て保ちつつ、でも実はソフトウェア側の対応によっては新Switchのみに許された高クロックモードを使うことで、新Switchではフレームレートがより安定するとか、動的解像度のタイトルであればより高解像度で安定する、といったちょいとした恩恵があったりするんじゃなかろうか、いや、あって欲しい、ということです。

 

となると、あつ森に備えてカミさん専用Switchを買い増すのは Lite でいいかなと思っていたんですが、新Switchを買い増しして、今使ってる自分用の Switch をあつ森用としてお下がりにする、という方がいいかなあ、などと悩ましくなってくる今日この頃ですね!(セコい男)